小説『桜の奇跡が舞い降りる』第19話
一階のリビングルームの扉を開けると、父さんがいつものように、新聞を読みながら、夕飯を待っているのが見えた。そして台所の奥から、
![]() 「おかえりん♪ ピン太」と聞き慣れた女の子の声がした。
「えっ。サーモン!?」僕の前には、制服にエプロン姿のサーモンがお盆を持って、食事の支度をしていたのだ。
「部活はどうしたんだよ」
「受験シーズンに突入したから、放課後は早めに帰ってるよ。知らなかったの?
![]() そう言って、サーモンはニヤリと笑った。
「どう?レースのエプロン似合う?ピン太ママに出してもらったんだよ」「ほんとに、可愛いわあ。サーモンちゃん、すっかり女の子らしくなったわね」母さんは、目を輝かせながら、食事を運ぶ。
ひょっとして、母さんの言っていたサプライズってこれか!?
![]() 「ピン太のやつ、サーモンちゃんのあまりの可愛さに、動揺しているぞ」後ろから、父さんの声が響く。僕は、振り払うように、
「そうじゃないって。何だか、サーモンが料理するってイメージが結びつかないんだよな…」そう言って、僕はサーモンの姿をまじまじと眺めた。
以前は、男の子と区別がつかないほどのやんちゃぶりだったサーモンだが、こうして見るとレースのエプロンも意外と様になっている気がした。
![]() ![]() 「それにしても、ピン太、勉強してるみたいじゃん。どうしたの!?」サーモンの言葉に僕は少しムッとして、
「受験生だから当たり前だろ」と返した。先ほどまで、幻覚でうさぎのぬいぐるみと戯れていただなんて、言えない。
![]() 「サーモンちゃんも受験生なのに手伝わせてしまってごめんね。ご飯たくさん、食べていってね」
母さんは、ニコニコしながらテーブルの中央に、花を飾った。
サーモンが食卓にいるので、父さんはいつもより嬉しそうにデレデレしていた。
「サーモンちゃんが嫁にきたみたいだなあ」父さんの言葉に、僕は、ハンバーグを喉に詰まらせそうになる。
「ゴホゴホゴホッ…」僕は、自分の胸を拳で軽く叩いた。
「やだなあ、ピン太パパ。そういうんじゃありませんって」サーモンは、アハハと軽く笑いながら返した。
「いえいえ、サーモンちゃん、ハンバーグをこねる手つきも良いし、我が家にお嫁さんに来てくれたら嬉しいな」
母さんは、まんざらでもなさそうにサーモンに言った。
![]() しかし、サーモンは、「ピン太には、好きな女の子がいるんですよ」と二人の発言を受け流すようにサラリと言った。
更に、僕は、ハンバーグとご飯をも喉に詰まらせてしまった。
![]() 「やっぱりそうなのか!?父さんの知ってる子か」父さんは、ニヤニヤしながら身を乗り出してきた。
![]() 「髪がストレートで長くて、ふわふわしていて、例えるなら桜色の花びらという感じの女の子だよね。
動物に例えるなら、ぴょんぴょんしているうさぎかな」
サーモンは、苦しそうにしている僕を横目に、口の端で笑っている。
愛しいブログ読者さまに雪崩のごとく桜の奇跡
![]() ![]() ![]() ![]() AKB48さまの『心のプラカード』
聴きました!
これは…
カニカニポーズがミクルビームですね
(^-^)v
ありがとうございます
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