桜の奇跡が舞い降りる
第5話
その日、僕は妙な夢を見た。夜桜の中、小さな女の子が暗闇のほうへ消えていく。僕は、彼女を必死に追いかける。
![]() 「待ってくれ」僕は、歪んだ地平線を越えようとして、ばっと僕は身を乗り出す。
体がぞわぞわと悪寒に襲われ、落下していく。そして、彼女が振り向いた瞬間に、僕は夢から覚めるのだ。
![]() 「はあはあはあ・・・」僕は、軽く寝汗をかいていた。
「ピンちゃん―っ。起きなさい! ・・・あら」母さんが、階段をタッタッと上って、部屋のドアを開けると、僕がもうすでに目覚めて、白いワイシャツに袖を通していたので、拍子抜けしたようだった。
「最近は、すぐに起きられるようになったのね。感心感心。寝癖はピン太くんのまんまだけど」
朝ごはんの食卓で、母さんがのんびりと卵焼きを頬張りながら、ニッコリする。
「もう、そのピン太ってあだ名、やめにしないか」僕がつぶやくと、新聞を読んでいた父さんが、
「そりゃあ、ピン太、その寝癖を直さないと無理だなあ」と笑いながら言った。
「そのぼさぼさ頭だと、高校行ってからガールフレンドできないぞ」父さんが僕をからかうと、
母さんが、
「あらあ、ウルフカットみたいでいいじゃない。
今の男の子の流行りなんでしょ。ねっ。ピンちゃん」とウィンクしながら言った。
「それに小さい頃から、はねていたから、もしかしたらあれよ、ピンちゃんの髪は天然なのかもね」
「母さん・・・ピンちゃんって呼ぶのも、何か恥ずかしいからもうやめろよ」
しかし、父さんも母さんも僕の言葉を聞いていない。
「最近、でもピンちゃんの顔、すごーく大人っぽくなったわねぇ・・・ご飯食べる量
![]() 「あー、それ多分違うな。あまり勉強してないかも」僕は、二杯目のご飯を頬張りながら、答える。
「受験生なのに、勉強してないのは問題だなあ。ひょっとすると・・・好きな女の子でもできたんじゃないか。父さんにはわかる」父さんの言葉に、思わずむせそうになった。
「ええっ。ピンちゃんはまだ中学生じゃない。恋とか愛とかわかる年齢?サーモンちゃんがガールフレンドじゃなかったっけ」母さんと父さんは、身を乗り出してきたので、何となく焦る。
![]() 「アハハハ。おっ、いけねぇ、そろそろ学校行かなくちゃ」
僕は、時計を見て、残りのご飯を口にかきこむと、洗面台へ向かった。 歯を磨きながら、父さんと母さんの会話が聞こえてきた。
「あの様子だと、片思いだな」
「ピンちゃんもいつの間にか、大人になっていくのね、失恋のひとつやふたつも経験して」
今すぐ、二人の前で、怒鳴りたい衝動に駆られたが、ぐっと抑えて、僕は玄関で靴を履くと、 「じゃあいってきまーす」と高らかに叫んだ。
「あーピンちゃーん。勉強はしっかりするのよー」
「まあいろいろと頑張れよ、父さん応援してるからな
![]() 愛しいブログ読者さまに雪崩のごとく桜の奇跡
![]() ![]() ![]() ![]() 『神様のベレー帽〜手塚治虫のブラック・ジャック創作秘話』
草なぎ剛さまが手塚治虫さま役(#^∪^#)何か良い味出てる〜♪
アッチョンブリケ!と顔真似する大島優子さまが可愛い(*´∀`*)
![]() 道先案内人の又吉直樹さまもミステリアスで素敵ですね、ありがとうございます
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